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裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬

本表紙 - 裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬

Base Info

作者 / written by柳井政和
リリース年 / year2016
出版社 / published by文藝春秋社

作品レビュー

実際の開発者でありprogrammerである作者が書いたCyber Crime Novel (小説)。

あらすじとサイバークライムノベルのポイント
  • 主人公は成功した起業家の安藤裕美だがエンジニアではない
  • 派遣したプログラマーがランサムウェア事件を起こし疾走、極秘捜査として探偵の鹿敷堂桂馬に依頼
  • 鹿敷堂は世にいうハッカーで技術力が高く、プログラマーの目線で事件を解決していく

ムービー以外にもサイバークライムの物語をリサーチしてるんすね…

Total:  17/25

  1. drive the story, involvement / penetration : 5 最初から最後までサイバー犯罪
  2. technical breakthrough, fresh ideas / hack : 3 おっと思うのは一番最初のcoding quiz
  3. hacker description / report: 4 Yakuzaとしてのcracker/criminal(文字通り)の描写は貴重
  4. gadgets / artifacts : 2 実物探偵側のものがメイン、forensic(データ吸い出し)は描写が浅め
  5. other cinematic techniques / misc : 3 ラノベ的トーンで短めの文章。簡潔なコードを良しとするprogrammer的な修辞とも…

ミステリー要素を盛り込んだいわゆるハッカー探偵ものだが、主人公を起業家の女性としてひねりを加えている。物語の根幹は派遣エンジニアの転落と犯罪に手を染める悲しいエンジニア、そしてそれを乗り越えたエンジニアの描写で、そこにcoding skillで力量を測り不遇に遭いがちなエンジニア救う派遣ベンチャーが程よく絡み筋が通っている。

犯罪者=Hacker側の描写も丁寧で不幸にも墜ちてしまったという同情できる人物にしており、読みやすく、犯人探しのミステリ要素も構成上考慮されている。

あ、でもここではCyber Crime Movie(Novel)の視点でのみ語るんだった。

まず、ransomwareでDBとbackupを暗号化し身代金を要求するという設定はありがちだが、物語の中心は犯罪の技術面ではなく動機と犯人のback groundなので薄味でもまあよし。
より重要なのは、最も設定が難しい”いかにして痕跡を消したか(特にこのcloudの時代に)”というテーマに対してで、堂々と内部犯がいてそいつが失踪した(ので行為のログが残っているのは不問)というアイデアが良い。通常描かねばならない侵入・検知回避・ログ(証跡)の調査、のくだりを割愛できるのでいきなり事件と人物像に迫れる。

CyCrime演出の評価

CyCrime要素を並べてみる

  • 登場したcrcrime要素 : ransomware, 名簿屋(ただ窃取技術は明かされない), データ取得のためのlogin回避, 強いて足せば登記簿チェックサービスかな…
  • CCM(N)感 : 物語が徹頭徹尾programmer & crimeの話でまさにサイバー犯罪小説と呼べる読み物
  • タイトルは素人向けかと思うが物語の根底に割りを食うエンジニアの悲しみが流れており、(日本の)IT業界への怒りが垣間見え好感が持てる
  • サイバークライム調査のproである探偵役に説明させるためほぼ素人だが当事者(大抵女性、羊たちの沈黙以降女性(独断))が主要人物になるが、動機付けがしっかりしているので話に奥行きが感じられる

しかし探偵側の進め方が大抵analogue hackなのは探偵物の宿命か…、人と場所を動かさないと盛り上がらないからという編集側のflavorをそれとなく感じてしまう。

なんとなく、続編への色気を感じさせるタイトルで、実際のところ”顔貌売人”という続編が2017年に発表されている。

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